出産前、産後ケア事業のことは、なんとなく聞きかじって存在は知っていました。
けれど、それが自分も利用できる制度だとはあまりピンときていませんでした。それはすごく特殊な事情を抱えたお母さんや、精神を病んでしまったり体を壊してしまって育児がままならないお母さんが利用するものだと思っていたんです。
第二子にあたる今回の出産は、コロナ禍でもあり、胃腸炎をこじらせた上の子の入院とも重なってしまい、とても孤独で心細いものでした。
入院中もずっと一人ぼっちで、泣く赤ちゃんにおっぱいをあげたくても全然思うようにあげられず、母乳も出なくて、乳首が切れてさっそく血が出て、初めてじゃないのに、二回目なのに、何もかもうまくできなくて、なんて不甲斐ない母親だろうと悲しくなりました。
上の子が心配で通話を繋ぐと、お母さんに会いたい会いたいと病院のベッドで泣いていて、この子にこんなに寂しい思いをさせて、下の子もうまく泣き止ませられなくて、申し訳なくて何度もめそめそ泣きました。
両方の乳首から血が出て水ぶくれができたとき、痛くて悲しくて涙が出て、もうこれは自分では無理だ、と思い、そう思い至るともうなんの迷いもなく、上の子の時にお世話になったりんご助産院に電話をかけました。
まだ退院もしていないのに、どうしたらいいのかわからないけど、でもりんご先生なら絶対どうにかしてくれる、助けてくれると思ったからです。
繋がった電話の向こうで、産後ケアスタッフの方がそれはそれは優しく温かく対応してくださって、上の子が入院していること、おっぱいがうまくあげられないことも真剣に話を聞いて心配してくださって、あんまりにも孤独だったその時の私は、その優しい声を聞いているだけでまたまた涙が出てしまいました。
一人ぼっちの病室でずっとずっと自分を責めて泣いてばかりだった中、そうして話を聞いてもらうことが、そしてその後の予約のやり取りのLINEですら思いやりに溢れた言葉をたくさんかけて頂けることが、どれほど救いになったか言い尽くせません。りんご助産院の産後ケアは、予約の電話をかけた瞬間からもう始まっていたんだなと、今振り返って思います。
幸い、予約をすぐに入れていただけて、退院後すぐ一回目の産後ケアを利用しました。
先生はもちろん、スタッフさんもみんな明るく優しく、何より皆さん本当にパワフルで、ここへ来るとなんだかこう、ホッとして、こちらまで謎のパワーがあふれてきます。
「あっ、子育てつらいって思っても別にいいんだ」って思えるし、「楽しんで子育てしていいんだ、自分の子供のこと可愛いでしょ〜って言っていいんだ」って、一人で閉じこもって子供とだけ向き合っていたのでは出てこない気づきがたくさんありました。
私がリラックスするからか、娘もなんだか機嫌よく過ごしてくれることも多くて。一日かけて目いっぱい充電して、「さあまた明日からがんばるぞー!」って思える、本当に素敵で、貴重な場所です。
産後すぐ、あのボロボロの体と気持ちを引きずってここへ来たあの日から、6ヶ月間、定期的に通わせていただいて、子供の成長を一緒に見守っていただけて、ぐちゃぐちゃだった心がきれいに整いました。
育児と、子どもたちと向き合うことは、難しくて、しんどくて、そしてとても幸せです。
子供を育てていく以上、これからもきっとたくさん悩むし、分からなかったり、迷ったり、イライラしたり、するんだと思います。それはきっと、私だけじゃなく、すべてのお母さんたちがそうなんだと思うし、これから出産に臨まれるお母さんたちも、みんな通る道なんだろうなと思います。
生まれたばかりの小さな小さな命とふたりきり、毎日その小さな灯火だけを見つめて、揺らがないように、消えないように両手で守って、ママたちの心は張り詰めて、時に破裂しそうに重く、説明できないしんどさを抱えていたりするんだと思います。
しんどくたって、投げ出すわけにも行かないし。
そういうとき、誰でも平等に、そして思ったより気軽に利用できるのが、産後ケアという制度なんだと思います。
しんどい気持ちを吐き出して、頑張ってるよって褒めてもらって、右も左も分からない子育ての不安も何でも聞けて、同じ子育てママどうしで共感しあったりもして、おっぱいが出ないとか詰まってるとかトラブルがあればマッサージもしてくれて、おまけに黙っててもご飯が出てくるなんて。しかも赤ちゃんを預かってもらえて、一人でご飯が食べられるなんて…!いつも赤ちゃんをおんぶして立ったまま、流し込むように食事していた私には大変ありがたかったです。
そうやって、ここでもらった元気や優しさをもらったら、また明日から頑張ろうって思って家に帰ることができるんです。
これからの長い子育ての基盤というか、相談できる場所や、同じくらいの子供を持つママさんとの人脈づくりなんかを、ここで得られた気がします。一人目の時に産後ケア制度があればよかったなぁ…(笑)
りんご先生、スタッフの皆さん、それからここで出会ったママさんたちにも、心からの感謝をお伝えしたいです。本当にありがとうございました。
これから先もこの場所が、そしてこの産後ケアという制度が、たくさんの孤独なママさんたちを救ってくれる存在で有り続けるよう、心から願っています。